AtCoder業務直結型プログラミングコンテスト標準著作権等取扱規約およびガイドラインについて
先日から開催されていた、「ヤマト運輸プログラミングコンテスト」が無事終了しました。とてもレベルの高い良いコンテストとなったのですが、多くの方から、「著作権の譲渡について」のコメントを多くいただきました。
それを受けて、AtCoderでは、コンテストの著作権等の取り扱いに関する標準規約を作成いたしましたので、それについての報告記事となります。
コンテストに関して「悪だ」とか、「搾取だ」といった意見が一部の人から出ていましたが、あくまで自由参加のコンテストなので、コンテストルール自体に「悪い」ということはないと、個人的には考えています。各企業で許される権利処理ラインは変わってくるわけで、「楽しいコンテストを多く開催する」という視点において、「こうでなくてはならない」というようなルールを明確にしてしまうことは、むしろ機会損失につながってしまうと考えています。
ただもちろん、ルールを誤認して参加してしまうのは良くないですし、確認コストは出来るだけ下げたい、というのは同意できます。
ヤマト運輸コンテストの反応を受けて、今週から第4回アスプローバプログラミングコンテストは、権利を全てユーザに帰属させるコンテストとなりました。
ユーザにとっては明快で良いコンテストなのですが、コンテスト主催者側の旨味が減ってしまうものでもあるため、このルールを他企業にも徹底させるのは、少し現実的でないかな、と考えています。
そこで、AtCoderで、業務直結型のコンテストに関する、権利周りの標準的な規約、およびそれに対するQ&Aを作成しました。
この規約をベースとして、コンテストを行う際に推奨される権利処理をAtCoderとして示した上で、企業側の事情でこの規約に従えない場合は、差分を明確にすることにより、権利周りを明快にすることが出来ます。
コンセプトは、
- 著作権等はユーザに残るため、ユーザがプログラムを使用する際に、権利を気にする必要がない
- 提出されて入賞したコードは企業が自由に利用できる(特別賞なども含む)
の二つが明確に守られる、つまり「双方が好き勝手やれるけど、双方が相手を止める権利がない」みたいな形を目指して作っています。このコンセプトからもし外れた条項が存在した場合は、ご意見を頂けるとありがたいです。
現状で頂いている意見として、「入賞の辞退が可能か否か」や、「ライセンス付きオープンソースのコードの利用はどうなるか」みたいな話がまだあるので、このあたりの文面は後日追加する感じする必要性があるとは感じています。このあたりはもう少し洗練させていこうと考えています。
その他、必要性を感じるものがあれば、Twitterでもblogでも反応を頂ければ、検討していきたいと考えています。よろしくお願いします。
【8/19 19:09 追記】
非侵害保証周りが、個人に責任を負わせるには重すぎではないか、という話が上がってました。正直な話、AtCoderのコンテストの仕様上、ほぼ著作権以外の権利侵害が起こるとは思えないので、大きな問題にはならないと思いますが、明記されている以上、ちょっとどうするか考えたいと思います。