意識高い系向けヤンデレのすゝめ
意識高い系とヤンデレの話です。
ヤンデレという単語について。
最近はなんか、「とりあえず刃物持たせておけば良い」「主人公を信奉させておけば良い」「狂気を持っていれば良い」みたいな凄い雑なヤンデレが増えてます。困ったものです。ぶっちゃけ、どの定義を採用すれば良いのかよくわからないです。言葉的には「病んでる」というのが正しいんでしょうけれども。
この状態になると、ただ「ヤンデレ」について語ったところで、ヤンデレって何だ、って話になるので、あんまり意味がないです。よって、この記事では、「意識高い系向けヤンデレ」という言葉を後に定義し、それについて語ります。当然、「意識高い系」の人向けの記事になりますが、「そういう考え方もあるのかー」と他の人が読んでも構いません。というかネタ記事です。そんなに本気で読まないでね。
刺されたい人とかはちょっと今回は合わないかもしれません。ごめんなさい><
努力とは何か?
我々意識高い系の人間は、常に自らを高めるために努力をしていますよね!
漫画が読みたい、寝たい、アニメがみたい、ゲームがしたい、遊びに行きたい・・・そんな欲求がないわけではないと思います。それを、「自らのためにならないから」と自制し、日々自己鍛錬に励んでいるわけです。
これを図にすると、こんな感じになります。
これが普通の人間です。成長をしたい、そのために勉強をしなければ、と思うものの、遊びたいという欲求に負け、流されてしまうわけです。これでは成長出来ない。
しかし、我々意識高い系の人間は違います。
我々意識高い系の人間は、他の人よりも、成長したいという意志が強いです。しかし、それでも、遊びたいという欲求に抗うことは難しい。そこで、「努力」が出てくるわけです。自らの精神力を消費することにより、遊びたいという欲求を押さえつけ、成長に向かって突き進むのです。これが我々意識高い系と一般人の違いです。
しかし、我々はこの状態を維持し続けることが出来るのでしょうか?答えは否です。
そう、努力というのは、我々の精神力を消費することにより、発揮できている力なのです。つまり、その精神力のストック、努力ゲージが尽きた時、我々は遊びたい欲求に負け、圧倒的な成長をし続ける未来を掴み取ることができなくなってしまいます。
さて、こうなった時に、我々には何が必要か? 答えは簡単です。努力以外の代替エネルギーが、右側に働けば良いわけです。
ヤンデレとは何か?
さて、なんでこんな話をしたかというと、これがヤンデレと関係してくるからなわけです。タイトル無視も甚だしいので、ヤンデレに戻っていきましょう。
ここで、通常とは違うヤンデレの定義をします。ヤンデレとは、自らの行動によって、強く相手の行動を縛る存在です。
多くのヤンデレキャラは、対象に対して溺愛しています。単純な溺愛だと、むしろ何でも受け入れてしまうように思えますが、そこで逆に相手を縛るのが、ヤンデレのポイントと言えるでしょう。(もちろん、今回の定義に当てはまらないヤンデレキャラもいます)
例を見ていきましょう。
「あんまり八方美人なのはダメだよ、お兄ちゃん…?マコト、何するかわからないよ?」
「お兄ちゃん、マコトが怖いの…?マコトがこうなったのは、お兄ちゃんのせいなんだよ…?」(Tokyo 7th シスターズより、玉坂マコト)
典型的な、ヤンデレキャラが浮気を抑制する時に使う台詞です。
さっきの構造と全く同じです。マコトちゃんという存在がいなければ、いろんなキャラを愛でてしまいます。しかし、マコトちゃんという存在がいることで、それが抑制されるわけです。これは、ヤンデレの力により、我々の行動が制御されうる、ということが言えるわけです。
「おにいちゃんはそんなこといわない・・・あたしを傷つけることなんかいわないもん!!!」(ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDより、野々原渚)
ヤンデレが常軌を逸しているところは、この豹変にあります。実際、この後の展開で主人公は監禁されてしまいます。実際にとんでもない行動に出る可能性があるからこそ、これが抑止力として働くわけです。
意識高い系向けヤンデレについて
さて、ここまで話せばあとは簡単でしょう。意識高い系向けヤンデレとは何か?答えは簡単。我々に変わらないことを求めてくるヤンデレです。
もちろん、成長しないことを求めるのではなく、今の姿勢をそのまま維持することを望み、成長し続ける自分を支えてくれるヤンデレです。
我々がわざわざ努力という精神エネルギーを使う必要はないんです。ヤンデレの強制力という外部エネルギーに任せ、成長する自分自身を強制させられてしまえば良いのです。
普通のヒロインだったらどうなの?
もちろん、ただ応援してくれるだけのヒロインはいくらでもいます。応援してくれる女の子がいるから、成長し続けられる……もちろんそんなこともあると思いますが、一般的に、ヤンデレ以外のそれは弱い力でしかないです。
例えば、僕が野球選手を目指していたとします。普通のヒロインがいたとします。
「なおくんが甲子園に出るの、期待してるからね!」
こんなことを言ってくれるわけです。当然僕のやる気は上昇し、普通より練習に力を入れることが出来るわけです。さて、これで効果が出るでしょうか・・・?
さて、僕が残念ながら地方大会準決勝で破れ、甲子園に行くことは出来ませんでした。普通のヒロインの女の子は、多分こんなことを言ってくれるでしょう。
「なおくんが甲子園に行けなかったのは残念だけど、なおくんは凄い頑張ってたもんね。仕方ないよ。お疲れ様。」
そう。こんな感じです。そりゃまぁ人並みの練習量にはなるでしょう。それは傍から見たら十分な練習量でしょう。それを、性格の良いヒロインが見たらどうでしょう?こんな風に、甘やかしてくれるに違いないんです。甘い。甘すぎる。
こんな風に、甘やかしてくれるのが予見できちゃったら、強制力なんて働かないです。いや、結構働くけど、もっと、もっと働かせる事ができます。
さて、これがヤンデレだったらどうでしょう?
「なおくんが負けるわけなんてないよね。甲子園、楽しみにしてるね。」
ここまでは大差ないです。さて、また負けました。
「そんな……なおくんが負けるなんて……そんなことありえない……。あっ、そっか。このなおくんは偽物だったんだね。あはは。なおくんの偽物は、始末しないとダメだよね。」
こうなります。僕の頭と胴体は2つに分かれてしまいます。こうなることも、事前に予見出来てしまいます。
さて、この2つ、どちらのほうが死に物狂いで練習しますか?後者です。明らかに後者です。前者だったら「練習から逃げる」という選択肢が生まれてしまいますが、後者ならそんなことはありえません。
ここに、ヤンデレであることの必要性があるわけです。
さて、皆さんはこう思ったかもしれません。「そんなに強要されたくない!」と。そんな読者の方も多いかもしれません。正直な話、ここまでされてしまうと、ストレスがかかるとは思いますし、効率も微妙かなと思います。
別に個人的には、命がかかっているだとか、脅しが入っている、なんて要素は必要ないと思っています。絶対に必要な要素は何か?それは、逃げを絶対に許さない、目的を達成しないことを許さない、ただそれだけです。
今日のおすすめ意識高い系向けヤンデレ
さて、最後に、意識高い系の人に向けて、おすすめキャラを紹介したいと思います。
Re:ゼロから始まる異世界生活より、レムです。ここからネタバレ全開なので、ネタバレを見たくない人はここでさようなら。はてなブックマークに登録してブラウザを閉じましょう。
(台詞の引用が連続しますが、実際の作中では連続していません。)
主人公スバルは死に戻り能力があり、何度も何度も殺される未来を見ます。レムも当然死んでいます。
そこでスバルは、レムと一緒に逃亡する選択をするわけです。
「慎ましくても、お前がいればきっと頑張れる。誰かが笑顔で家で待っててくれるだけで、どんだけ疲れてもレムが待っててくれるって思えばきっと……!」
「俺を選んでくれれば、俺の全てはお前に捧げる。俺の一生は全部、お前のもんだ。お前に尽くす、お前のためだけに生きる……だから」
「俺と逃げよう……俺と、生きてくれ……っ」
スバルの必死の誘いに、レムはこう答えます。
「レムは、スバルくんと逃げることはできません」
続けて、レムは語ります。
「……レムも、考えてみました」
「カララギに到着して、まず宿舎を借ります。生活の基盤を作るために家は欲しいところですけど、手持ちのお金のことも考えると無理はできません。まずは安定した収入を得る方法を見つけてから」
「幸い、レムはロズワール様の計らいで教育を受けていますから、カララギでもいくらか仕事を見つけるのは容易だと思います。スバルくんは……肉体労働を探してもらうか、レムの身の回りの世話をしてもらうことになるかもしれませんね」
「収入が安定したら、もう少しまともな住む場所を見つけるべきです。スバルくんにはその間、他の仕事に就くことができるよう勉強してもらって……実際に働くことができるようになるまで、一年かそれぐらい。スバルくんに頑張ってもらって、そこはもっと早く独り立ちしてもらいましょう」
「二人で働いて、ある程度のお金が貯まったら……家を買ってもいいかもしれませんね。なにかお店をしてもいいかもしれません。カララギは商都の盛んな場所ですから、きっとスバルくんの突飛な発想が活かせることもありますよ」
「仕事が軌道に乗ったら……その、恥ずかしいですけど……子ども、とか。鬼と人のハーフになるので、きっと腕白な子が生まれます。男の子でも女の子でも、双子でも三つ子でも可愛い子になりますよ」
「きっと楽しいことばかりじゃないですし、こんなに想像通りにうまくいくことばかりじゃないと思います。男の子が生まれなくて、女の子ばかりが続いてしまってスバルくんが家庭内で肩身が狭くなることもあるかもしれません」
「でもでも、子どもたちが大きくなってスバルくんを邪険に扱うようなお年頃になっても、レムはスバルくんの味方です。ご近所では有名なおしどり夫婦なんて言われてしまって、ゆっくり、同じように時を過ごして、老いていって……」
「スバルくんにはごめんなさいですけど、できればレムに先に逝かせてください。ベッドの上で、スバルくんに手を握られて、子どもたちやその子どもたちに囲まれて、静かに『レムは幸せでした』って、そう言って、見送られて……」
「幸せに、幸せに……人生を、終えることができるんです」
レムが、スバルの手を取った時の未来予想図。それは、スバルに恋するレムにとって、極めて理想的なもの。それなのにレムは断った。
「そこまで……ッ」
「そこま、で……思ってくれるなら……!」
当然、スバルには理解できない。そう思ってくれるなら、当然レムはスバルの手を取るべきだ。そうしないのはなぜか?それは、彼女の後の台詞でわかります。
「スバルくんと生きていけるなら……スバルくんが、逃げようと思ったその場所にレムを連れていこうと思ってくれたことが、今は心の底から嬉しい。嬉しいです。――でも、ダメなんです」
「だってきっと、今、一緒に逃げてしまったら……レムが一番好きなスバルくんを置き去りにしてしまうような気がしますから」
これです。まさにこれ。
レムがヤンデレと扱われることは、あまり多くはないでしょう。ですが、僕の今回の定義だと、レムは完全にヤンデレです。
「スバルくんは、途中でなにかを諦めるなんて、できない人だってことをです」
「レムは知っています」
「スバルくんは未来を望むとき、その未来を笑って話せる人だって知っています」
「レムは知っています」
「スバルくんが未来を、諦められない人だって、知っています」
「レムは知っています」
「スバルくんがどんなに先の見えない暗闇の中でも、手を伸ばしてくれる勇気がある人だってことを」
レムは知っています。さて、本当に知っているのでしょうか? 残念ながら違います。
レムは知っているんじゃない。レムは、彼女の中で、スバルを定義しているだけ。
そして、スバルがその定義から外れることを、絶対に許さない。
「――だって、スバルくんはレムの英雄なんです」
そう。彼女はスバルに、英雄であることを強いる。
「――レムは信じています。どんなに辛い苦しいことがあって、スバルくんが負けそうになってしまっても。世界中の誰もスバルくんを信じなくなって、スバルくん自身も自分のことが信じられなくなったとしても――レムは、信じています」
レムはスバルを信じている。
「レムは、スバルくんを愛しています」
レムはスバルを愛している。
……だが、それは、本当にスバル自身を愛しているのだろうか?
愛しているのは、スバル本人ではなく、自らが定義したスバルなのではないだろうか?
そうでなければおかしい。だって実際に、スバル本人は逃げようとしているのだから。そして、そのスバルをレムは拒んだのだから。
レムが一番好きなスバルくんを置き去りにしてしまう。
それは、正しいようで少し違う。
レムが、スバルを一番好きな形に染め上げているのだ。
さて、長々と引用が続きました。この後スバル君は、見事英雄として、問題を解決することに成功します。まさに、レムのヤンデレとしての強制力が、上手く働いた場面だと思います。
レムというヒロインの、強制力の強さ。溺愛している相手からのプロポーズを断ってまで、自らが抱かせた幻想を守りきらせるその強さ。正直この記事を書いたのは、その圧倒的なまでの存在感に魅せられたから、という部分もあります。
Reゼロ面白いです。読んでみてください。以上、レムの布教活動でした。